ふむです。
人生の成功には方程式がある。と言ったら皆さんは信じるでしょうか。この方程式は2010年1月に戦後最大の経営破綻となり、わずか2年後の2012年9月に再上場を果たしたJALの劇的な復活劇を支えた稲盛和夫氏の経営哲学にあるものです。
ふむも管理職となり個の力ではなくチームの力を発揮・底上げするにはどうすればよいのか?を日々考える中で、何かしらヒントになるものはないか?と本屋をうろついていました。
そこで、一冊の本「JALの奇跡 稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの」という本が目に付きました。JALの破産~復活についてはニュースでなんとなく覚えて入るもの、当時は興味もなかったのですが、工夫や仕組み論ではなく「善き思い」という言葉に何故か惹かれ購入しました。
今回は、成功の方程式とはなにか、根底にある考えとはなにか、人生の成功につながるのか。についてご紹介します。
成功の方程式とはなにか
ズバリ以下となります。
- 「人生・仕事の結果 = 考え方 ✖ 熱意 ✖ 能力」である。
誰でも自分の人生・仕事について少しでも良く有りたいと思うものです。
しかし、どうすれば自分が望む結果となるのかより良くなるのか?については、複雑であることや運といった要素も関わると思い込み、わかるはずはないと諦めているかもしれません。
この「成功方程式」は非常にシンプルで、特別なことはなく、しかし体現するには非常に信念や努力が必要な考え方が凝縮されています。
能力とは?
これは、多分に先天的で、その人に元々備わっている知能や運動神経、健康状態などの資産のことです。
熱意とは?
情熱とも努力とも読み替えられる能力に掛け算することで能力を補い、倍増していく要素です。自信の能力・資質・才能に奢らずに懸命に努力することを説いています
考え方とは?
最も重要なファクターがこの考え方です。なぜならば能力も熱意も誰にも負けず、善き考え方でそれをフル活用することが成功へとつながる。一方、能力も熱意もあるのに、考え方一つですべてがマイナスに働いていしまう。
更に、能力・熱意が高ければ高いほど、考え方を間違えると、よりマイナスな結果を本人にも周りにも与えてしまいます。
正しい考え方とは?
では、正しい考え方?とはどういったことでしょうか?
稲森さんは「人間として正しい考え方」だと表現しています。
ふむはこれまでの人生を振り返り、この言葉を消化したとき、「自分がされて感謝できること」「公正・対等であること」「誠実で嘘をつかないということ」という3つが自分の中でより腹落ちできました。
「尽くしてあげたのだから、私にもなにかしてほしい。」とか、「必要以上に上下関係をひけらかしたり、俺のほうが○○だ。」とか、「わからないことを素直に認められずその場を濁したりする」といったことが、するのもされるのも好きではなかった。思えば稲森さんの「人間として正しい考え方」の一部を自分でも体現していたのかなと少しうれしくなりました。
JALはなぜ経営破綻したのか
経営破綻の内情そのものは、色々なサイト、書籍で考察・評価・検証されているため細かいことは書きませんが、そういった数多の考察から見るに、以下の問題に集約されるのかと考えています。
- 相互不信の蔓延
- 奢りの行き過ぎ
- 定量評価の欠如
経営層と従業員は、互いの能力不足や努力を認めなかった。
JALが潰れるはずがないという危機感・緊張感が欠如していた。
目標やその達成具合の正しい把握と評価をしない文化を是としていた。
大企業病を絵に書いたような状態だということが、考察できるわけですが、これらの問題を稲森さんはたったの2年ちょっとで改善しています。
連結従業員数36,000人を超える大企業で、しかもいきなり外部から会長職に着任されてそれを達成しているのだから、もはや神業としか言いようがありませんよね。
どのように再上場まで会社を回復させたのか
経営破綻した理由は、非常に根深いもので簡単に解決できるものではないことが想像できます。2年ちょっとの期間で劇的に業績をあげ再上場に導いた稲森さん手腕の一部はなんだったのか?
ズバリ、「考え方」を変えたということです。
もともとJALで働いている人は経営層も従業員も「能力」「情熱」は高い人達であったと考えられます。これまでの風習が邪魔になりパフォーマンスが出ないだけであったと。成功方程式で言えば考え方がマイナスになっていたためにJALは経営破綻したと結論付けられる状態だったと推測されます。
本では以下の順番で「考え方」を変えていくことで成功の方程式をプラスへと持っていったことが書かれていました。
リーダーから変える
突然ですが、JALの経営理念は
- JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
- お客様に最高のサービスを提供します
- 企業価値を高め、会社の進歩発展に貢献します。
とあります。経営破綻を起こしたであろう3つの問題について真摯に向き合うとともに、考え方=人間として正しいと思える考え方を念頭に、能力・情熱を「正しい考え方」(物心両面の幸福)になるようにすることで、お客様への貢献、企業価値の向上をしていくと言うことが伝わります。
これらを経営層から徹底的に教育し考え方を変える。次に中間管理職を経営層を経由して徹底的に変えて行ったそうです。
これは実践するには自分が経営者でもない限りかなり実践は困難と思います。しかし、JALの事例ではあるものの、本質は組織の上から変わっていくことが何より必要だということ。そのために自分ができること(管理職になったので。)を私も探していかねばならないことを常に考えるようになりました。
社員全員の意識を高め、一体感を醸成する
次に、各中間管理職が各位の持ち場に持ち帰り自分の担当部署を変えていく。さらにそこに経営層も働きかけることで、より全体的な一体感の醸成を行うのだそうです。考え方の重要性と正しい考え方を以下に全社員と共有し共感をえられるか。これをやってのけたことこそJALが復活した根底にあるのだと考えます。
私自信は自分のグループでの一体感、考え方の共有については1on1を利用しています。もちろん1on1は各位メンバーのために行うものであり、なにかを押し付ける場ではないです。しかし会社の方向性や経営層の考え方、フィロソフィーの共有・共感を必ずテーマに含めるようにし、これらについてのメンバーの考え方や実践方法などを聞くようにしています。
まずは思いを共有し考え方を共有し、多様性を認めつつ方向性を揃えていく。稲森さんの手法に近しいものと考えています。
正しい数字で全員参加経営を行う
お金とモノの流れを数値としてできるだけ詳細に把握しつつも、分かりやすさ、理解のしやすさも徹底することで、全員参加型の経営になる、と本を読み理解できます。資料のあらゆる項目、数値、フォーマットに至るまで意味があるものでなければならず、社員全員が次は(こそ)頑張ろうという気になるための「経営数値の可視化」を徹底されたようです。
これは私自身、グループ運営において、非常に問題認識があり、課題は明確だが対応できてない部分です。エンジニアグループであることから、可視化すべきものとして生産性が挙げられます。これの数値化は非常に難しく人手を有することから億劫になっています。しかし可視化しなければ問題が見えにくくなり、、また後々その問題が顕在化してしまった場合の対策コストが高く付いてしまうことも用意に想像できます。(当ブログを書いていて、これは私の来年課題として目標を立てたいと思います。)
最後に:人生の成功について
久しぶりに、自分の気持の整理ができる本に巡り会えたと思いました。
これまで私が送ってきた人生、今この瞬間において私は幸せであると確信しています。それらの根底にある考え方仕事への向き合い方は間違っていなかったんだなと。
考え方というのは、重要であることは誰しも認識しながら、ともすれば「綺麗事」とか「大人になる」みたいな言葉で、言い訳を作り自分を正当化してしまう場面があるかもしれません。しかし、「人間として正しい考えか?」を自問自答し続けることで、より良い人生になるというのは、ふむとしては確かで体現できていると思えるものでした。
ぜひ皆さんも興味があればお手にとって稲盛和夫さんの経営哲学に触れてみてはいかがでしょうか?
追伸
2022年8月24日に、当記事でご紹介している稲盛和夫さんの訃報がありました。ご冥福をお祈りいたします。