ふむブログ

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10月1日 - 東証が終日売買停止になる - 業務改善命令と宮原社長代表の辞任発表

こんにちは。ふむです。


アップデートです。
先程、JPXより以下3つのニュースがホームページに掲載されました。
特に1つ目の「システム障害に係る独立社外取締役による調査員会の報告書について」を確認することで、当時の詳細な時系列を追うことが可能です。

  • システム障害に係る独立社外取締役による調査委員会の報告書について
  • 代表執行役の移動等に関するお知らせ
  • システム障害に係る業務改善命令及び責任の所在の明確化について

www.jpx.co.jp


システム障害に関して弁明できる余地はないですが、唯一上げるなら、9時寄り付き(実際にお客様の注文同士を成立させる)前にコンティンジェンシープランに基づき停止したことで、さらなる大障害(契約成立したものを不成立にする等)の前に判断が下せているのは、JPX様な大きい会社での判断速度として早く感じました。(実際は、一部取引成立を示す約定情報が配信されたとありますが全体ではない様です。)


仕事柄、株の世界に親しいのですが、今回は、東証=東京証券取引所が終日売買停止となったということで思わずブログを更新しています。

 

東京証券取引所とは?

https://www.jpx.co.jp/

JPX=株式会社日本取引所グループの子会社で、日本最大の証券取引所である。

主に株式を売買する場を提供するものであり、株式の売買を行うにあたり、市場というものが存在するのですが、同システムはarrowheadと呼ばれ、東証ほか、札証(札幌)、福証(福岡)、名証(名古屋)についても取り扱いがあります。

株取引を行うユーザーは、野村證券などの対面証券かインターネット専業のネット証券を通じて株の売買を行いますが、その売買を実際に行っているのが東京証券取引所になります。

 

終日の売買停止

10年以上、携わってきて終日の売買停止は初体験となります。

取引時間というのが定義されており、9:00 ~ 11:30 を前場、12:30 ~ 15:00を後場といいます。(前場の注文受付は8:00 , 後場の注文受け付けは12:05 , 東証以外の市場の後場終了は15:30)

arrowhead以前のシステムはあまり知見がありませんが、arrowhead以降、ここまでの大規模なシステム障害は筆者の記憶にありません。

 

原因は「機器故障」と「設定ミス」

原因が判明したようです。機器故障は起こるものとして捉え有事の際に業務継続可能な設定や構成を構築しているなかで「設定ミス」と言うのは、厳しいようですが「人災」に等しい原因と考えられます。

 東京証券取引所は10月5日、1日に発生した株式売買システム「arrowhead」の障害の原因を発表した。共有ディスク装置1号機に搭載されたメモリが故障した場合、バックアップ(2号機)へと自動的に切り替わるはずだったが、設定値に不備があり、機能しなかったという。

 東証は「障害を引き起こした直接的な原因を特定できたため、システム面での対応を実施した」としている。

システム障害の原因として、サイバー攻撃や、プログラムの不具合ではなく、機器故障が原因の可能性が高いという話がニュースになっています。

  

www.itmedia.co.jp

経緯

様々な情報が飛び交っていますが、一旦私が調べた範囲においてはざっくり以下のような流れが見て取れます。

7:04頃 システム一部の故障が発生:検知

8:00頃 通常通り場が開始され注文が取引所へ送信され始める

8:20頃 一部システム不具合のニュースやTweetが出始める

8:44頃 前場の売買停止をJPXがHPに掲載する

8:54頃 前場の売買停止(実際にシステム的に停止措置)

11:58頃 終日の売買停止をJPXがHPに記載する

 16:30頃 東証社長-記者会見実施

過去の事例

過去を振り返ると、おおよそ2年前の2018年10月9日にも大規模な障害を引き起こしています。この際、いわゆるインターネット専業のネット証券会社はほとんど障害影響がなかったようですが、対面証券はかなりの障害影響があったようです。
ただ、この障害の影響はごく一部の経路のみであり、システム全体の停止ということではありませんでした。

www.itmedia.co.jp

https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000003mfv5-att/20181023_01.pdf

反応・影響

Twitterでも相当の反応があるようです。また、arrowheadのシステム開発を受託した富士通も声明を出しているようです。

twitter.com

 

ロイターニュース

https://jp.reuters.com/article/tse-trade-stop-idJPKBN26M443

 

東証 宮原幸一郎社長による記者会見

宮原氏「原因の徹底的な究明を行い、その上で再発防止策に万全を期すことで、経営の責任の明確化を果たしていきたい。あくまでも富士通はベンダー(販売元)。市場運営者としての責任は我々にある。富士通への損害賠償(請求)は現時点で考えていない」

16:30よりおおよそ1時間かけて東証の記者会見が行われました。私も記者会見の模様は日経サイトにて確認していましたが、あそこまで的確かつ理路整然と応答をしつつも、「市場運営の責任の所在は私どもにある」など、市場運営の責任者として最後までベンダーを攻める様な応答は聞こえず、一個人としても社会人としても非常に勉強になる記者会見であったと感じました。

www.youtube.com

会見の中で話す宮原社長他、経営陣の対応について、Twetterでは「技術がわかる経営者」「受け答えが理路整然」といった声が上がっており、障害であっても説明責任を果たすことで、心象もよくポジティブな意見が多々上がっているようです。

最後に

職業柄、どうしてもシステムを運営している方の大変さを想像してしまう部分ではありますが、実際に被害を被っているお客様・市場関係者への説明責任、早期の原因究明、再発防止を優先するべきであり、関係者には頑張っていただきたいです。