ふむです。
Amanazonはプレスリリースを書いてからプロダクト・サービス開発をしていく。ということを自社内の研修で知り興味が湧いたため、その目的や内容についてご紹介します。
なぜプレスリリースを先に作るのか?
ミッション
amazon のミッションは「地球上でもっともお客様を大切にする」です。
すべてのプロダクトはこのミッションを達成するためであり、具体的に実現するための手段として「Working Backwards」という考え方/メカニズムを用いています。
お客様起点の逆算思考
「Working Backwards」は逆算思考であり、まずお客様を起点に、5つの質問からプロダクトを考えそれをプレースリリース化し、それを元にFAQを練り、ビジュアル化してお客様体験を詰め行くことで実際のプロダクト・サービスを作り上げていくというメカニズムです。
<5つの質問>
1. お客様は誰ですか?
2. お客様が抱える課題や改善点は明確ですか?
3. お客様が受けるメリットは明確ですか?
4. お客様のニーズやウォンツをどのように知りましたか?
5. お客様の体験が描けていますか?
第3回 Start UP :「MaaS 顧客体験アプローチ Working Backwards」
https://consortium.monet-technologies.com/event/20191113
なぜ要件定義やパワポのプレゼンではないのか?
作成されたプレスリリースは飾ったPowerpointやスライドは使わない。顧客目線を意識しながらプロダクト・サービスの完成形をイメージする意味がある。
企画会議では、6ページにまとめられたプレスリリースを模した資料を用意するらしい。それを、出席者が最初の20分をかけて読むことから始まる。パワーポイントなどスライドは使わない。これは、最初からプレスリリースの形にすることで、プロジェクトの完成形を作り上げ、さらに顧客目線を意識させる狙いらしいが、会議の冒頭で、出席者が資料を読むために20分間の沈黙を続けるというのはなかなか聞いたことがない。
要件定義や、パワーポイントによるプレゼンが悪いというわけではない。 プレスリリースのほうがより「お客様目線での完成形」が意識できるということこそ、プレスリリースによる企画が素晴らしいところだと考えます。
組織の原動力
PMはロケーションもマーケットへの理解度も違う他国のTPMたちを動かさなければならない立場にあります。その中で誤解なく意思疎通をしようとなると、やはり「カスタマーにとっての利点は何なのか」を明確にするのが最も分かりやすい、ということになる。
そして、作ったプレスリリースが他のPMやシニアバイスプレジデントなどにも閲覧され、揉まれていくプロセスを通じて、「どの企画を先に取り組むべきか?」という会社全体での優先順位付けも進んでいく。
「すべてプレスリリースから考えよ」アマゾンジャパンのPMに学ぶ仕事の流儀とキャリア展望【及川卓也のプロダクトマネジャー探訪】(https://type.jp/et/feature/2191/2)
そのプロダクトに関わる全ての人がカスタマーが喜んでいる姿を想像する。すごくワクワクすると思います。
特にシステム開発において、システム部門の顧客とはユーザー部署になりがちです。無論請負開発であれば、契約先のユーザー企業ということになりますが、少なくとも、エンドユーザー=本当のカスタマーに思いを馳せてはいけない理由はありません。
プレスリリースのフォーマット
amazon での プレスリリースのフォーマットを紹介します。
厳密には"Internal" press releaseとして社内向けのフォーマットのようです。(日本語訳しています。)
1) Heading(大見出し):ターゲット顧客が理解できる言葉でプロダクトを命名する。
2) Subheading(サブ見出し) :誰がどんなベネフィットを得られるかを1行で記述する。
3) Summary(サマリ):プロダクトとベネフィットを簡潔に記述する。
4) Problem(課題):プロダクトが解決する問題を記述する。
5) Solution(ソリューション):プロダクトがどうやって鮮やかに課題を解決するかを記述する。
6) Quote from You(提供側の声):プロダクトを提供している側からの声を記述する。
7) How to Get Started(始め方):使い始めるのが簡単であることを記述する。
8) Quote from Customer(顧客の声):顧客(仮)がどうベネフィットがあったかを記述する。
9) Closing and Call to Action(クロージングと行動の呼びかけ):まとめと、読み手に次にすべきステップを記述する。
Amazon Has a Secret Weapon Known as "Working Backwards"--and It Will Transform the Way You Work
リーン・プレスリリースの事例
実際に、プレスリリースを早期に打ち出すことで差別化を図ろうとしている事例も在るようです。
『プレスリリース』は、新サービスの発表や新機能のリリース時に配信されることが多く、日経新聞などの大手メディアに掲載されることを狙ったり、ユーザ獲得、資金調達をやりやすくするなどの目的で活用される。
プレスリリースの新しい潮流。「想い」を伝える「リーン・プレスリリース」とは
https://type.jp/et/feature/2191/2
おすすめ書籍
amazon式の仕事は知れば知るほどためになる最先端の思考で溢れています。私が参考にしている書籍をいくつかご紹介します。
最後に
いかがでしたでしょうか?一般的には新規事業などのプロダクト開発の立ち上げ時を想定するものですが、逆に無い場合はカスタマーを本当に意識した企画ではないかもしれません。
私も実業務の中でプレスリリースを意識したアウトプットを作成している真っ最中であり、書けば書くほど気づきがあることに驚きます。
その他にも、組織論やチーム育成に関する記事もありますので是非参考にしてみてください。